日本臨床外科医学会雑誌
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イレウスにて発症した腸結核症の1例
牛谷 義秀長手 基義牛谷 宏子瀬下 明良小林 槇雄
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キーワード: 腸結核, イレウス, 外科治療
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1996 年 57 巻 3 号 p. 629-633

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抄録

症例は75歳女性で右側腹部痛・腹満感およびその消退・再燃を主訴に紹介入院となった.入院後は嘔吐をともなうイレウス症状を繰り返し,注腸造影検査では回盲部,左側結腸に潰瘍瘢痕をともなう萎縮瘢痕帯と腸管の変形を認める典型的な腸結核のX線像であり,大腸内視鏡検査でも輪状,帯状潰瘍および憩室様膨隆形成を認め,生検するも腸結核の確診には至らなかった.再三のイレウス症状と小腸病変の化学療法による悪化が懸念されたため手術を断行した.開腹所見では肝彎曲部中心に手拳大の腫瘤を触知し,漿膜面には白色小結節の集蔟を認めた,右半結腸切除を施行,病理学的には潰瘍底に中心性乾酪壊死をともなう結核結節を認め, Langhans型巨細胞の分布をともなう結節は腸管壁のほか腸間膜リンパ節にも認められた.術後25病日目に退院, INH, RFPの内服とSM筋注にて1年が経過したが再発の兆候なく良好な経過をたどっている.

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