日本臨床外科医学会雑誌
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皮膚瘻を形成した盲腸癌の2手術例
萱野 公一北村 泰博竹尾 正彦森末 真八山本 満雄水野 裕目黒 文朗高木 章司小島 茂嘉
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1996 年 57 巻 3 号 p. 638-642

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抄録

比較的稀な皮膚瘻を形成した盲腸癌を2例経験したので報告する.症例1は86歳の女性で平成元年4月右下側背部に瘻孔出現し,近医で瘻孔切除術を施行されたが,瘻孔閉鎖せず紹介された.右側背部に瘻孔が存在し,黄白色ゼリー状の粘液が排出された.症例2は63歳の男性で平成5年7月中旬頃より発熱あり右側背部痛も出現したため受診した.切開排膿後も漿液性の排液続き皮膚瘻を形成した. 2症例ともほぼ類似した所見を呈し,注腸造影で盲腸部に異常陰影を認め,胸部CTでは瘻孔より後腹膜に連続した腫瘤を認めた.瘻孔造影で上行結腸が造影され,結腸との交通を確認した.手術所見は腫瘤は盲腸部にあり,背部への壁外発育が主体で粘液物質を多量に含んでいた.右半結腸切除術+リンパ節郭清を施行し,できる限り浸潤した腫瘍部を切除したが2例とも非治癒切除術となった.症例1は術後5年3カ月の生存を,症例2は術後1年6カ月現在生存を確認した.

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