日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
Expandable metallic stentを用いた胆管内瘻術後1年6カ月無黄疸経過中の再発胃癌の1例
上田 順彦小西 一朗吉光 裕太田 長義角谷 直孝廣澤 久史泉 良平広野 禎介
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 57 巻 3 号 p. 673-677

詳細
抄録

症例は49歳,男性. 3型胃癌に対して根治的胃切除術を施行した.術後10日目より一般肝機能検査で異常を認めた.中部胆管での完全閉塞のためPTCDを施行した.炎症による胆管閉塞と診断し再開腹した.肝十二指腸靱帯周囲は一塊となっており,胆管閉塞部の硬結の術中迅速病理診断では結合組織内に腺癌細胞の浸潤を認めた.胆道再建術も不能で試験開腹となった.術後PTCDルートを利用してexpandable metallic stentを留置した.ステント留置30日目にPTCDチューブを抜去し,完全内瘻化とした.退院直前よりUFT-E 1.5gおよびPSK 3gを連日服用させた.また外来来院時にはCDDP 25mg, MMC 2mgを静脈注射し,これまでに16回施行した.ステント留置より1年6カ月たった現在,胃癌に関しては再燃の徴候はなく,元気に社会復帰している.この間胆管炎の所見もなく,画像的にも肝内胆管の拡張を認めていない.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top