日本臨床外科医学会雑誌
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門脈腫瘍塞栓をきたした進行胃癌の1例
小林 聡山口 晃弘磯谷 正敏堀 明洋金 祐鎬前田 敦行高野 学山口 竜三河合 正己
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キーワード: 胃癌, 門脈腫瘍塞栓
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1996 年 57 巻 6 号 p. 1379-1383

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抄録

われわれは門脈塞栓をきたした進行胃癌の1例を経験したので報告する.症例は74歳,男性.腹部膨満感,食欲不振で発症し近医で胃癌と診断され当院紹介となった.精査したところ, CT, USで胃癌の門脈塞栓と診断され手術を施行した.腫瘍から左冠状静脈,脾静脈を介し門脈まで腫瘍栓がつながっていた.手術は胃全摘,膵体尾部脾合併切除,門脈切開腫瘍摘出術,胆嚢摘出術を施行した.
門脈腫瘍塞栓をきたした胃癌は,本邦で29例しか報告されておらず稀である.画像診断の進歩により近年報告例が増加してきたが,いずれも進行胃癌や肝転移をしている例が多く予後不良である.しかし門脈合併切除により5年生存し得た症例も報告されており,積極的な拡大手術により予後の改善につながると考えられた.

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