日本臨床外科医学会雑誌
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胃癌術後に発生した腸間膜線維腫症の1例
松山 智一吉住 豊森崎 善久杉浦 芳章寺畑 信太郎田中 勧
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キーワード: 腸間膜線維腫症, 胃切除
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1996 年 57 巻 6 号 p. 1469-1475

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抄録

腸間膜線維腫症は稀な腫瘍でGardner症候群との合併や,手術,外傷,妊娠などとの関連が報告されている.われわれは胃癌術後29カ月に発見された腸間膜線維腫症の1例を経験したので報告する.
症例は56歳男性. 1990年4月6日,幽門部早期胃癌にて幽門側胃切除, Billroth-II法再建術を行った. 1992年9月,左上腹部にクルミ大で可動性良好な腫瘤を触知し,胃癌の限局性腹膜再発を疑い開腹術を施行した. Billroth-II法吻合部から肛門側約60cmの空腸腸間膜に,クルミ大弾性硬の腫瘤を認め,腸間膜根部のリンパ節も示指頭大に腫脹していた.腫大リンパ節を含めて空腸を約1m切除した.病理所見では腫瘍は紡錘型の細胞からなり束状に増殖し,空腸粘膜下層まで浸潤していた.免疫染色ではビメンチン陽性, S-100陰性であった.以上より腸間膜線維腫症と診断した.術後約26カ月経過した現在も再発なく健在である.

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