日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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非定型的乳房切除術21年後,遺残乳腺より発生したと考えられる新生癌の1例
近石 登喜雄山田 育子加藤 禎洋日下部 光彦山森 積雄古市 信明三沢 恵一大橋 広文須原 邦和笹岡 郁乎
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1996 年 57 巻 7 号 p. 1589-1591

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抄録

症例は, 63歳の女性で, 21年前に当科にて左乳癌の診断で大,小胸筋温存,非定型的乳房切除術を施行,その後再発なく経過していたが,左前胸部手術創内側のしこりに気づき来院した.局所麻酔下に,切除生検を施行,癌細胞が認められ局所再発として入院し,全身麻酔下に局所切除術を行った.病理組織所見で,前回は乳頭腺管癌であるのに対し,今回は硬癌の所見であること,今回の組織中に正常乳腺構造を認めることより,前回の手術時に残存した正常乳腺より新たに新生乳癌が発生したものと考えられた.
乳腺遺残の原因として,内側の胸骨付近の皮弁の作成が不十分であったと考えられた.

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