日本臨床外科医学会雑誌
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触知不能乳房病変に対する超音波ガイド下core needle biopsyの試み
辛 栄成竹田 雅司上田 篤史三嶋 秀行蓮池 康徳柳生 俊夫小林 研二小林 哲郎吉川 宣博
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1997 年 58 巻 12 号 p. 2774-2779

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抄録

本研究では触診上乳房に異常なく超音波検査で異常を指摘された触知不能病変に対する超音波ガイド下Core Needle Biopsy(CNB)の有用性と問題点,さらにこれら触知不能病変の臨床病理学的特徴について検討した. 1996年5月より1996年10月までに当科外来で乳房触知不能病変に対し超音波ガイド下CNBを施行した10例, 13病変(超音波ガイド下穿刺吸引細胞診ではclass 1~3)を対象とし,次のような結果を得た. 1)超音波ガイド下CNBの病理診断可能な組織採取率は84.6% (11/13)であった. 2)超音波ガイド下穿刺吸引細胞診でclass 3であった1病変が超音波ガイド下CNBで乳癌と確定診断できた. 3)乳房触知不能病変(超音波像では腫瘤形成性低エコー像として描出される)の多くはductal hyperplasiaやlobular hyperplasiaなどの上皮成分の過形成を伴う乳腺症病変であることが明らかとなった.以上の結果から次の結論を得た.超音波ガイド下CNBは触知不能病変に対しても,病理診断可能な組織採取法としての有用性についてはサンプリングエラーの危険性はあるもののほぼ満足いくものであった.

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