日本臨床外科医学会雑誌
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部分体外循環下に直達手術を施行したBudd-Chiari症候群の1例
山田 卓史山口 敬史石橋 経久菅村 洋治國崎 忠臣
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1997 年 58 巻 12 号 p. 2939-2942

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抄録
Budd-Chiari症候群に対する外科治療は,直接閉塞部位を解除する直達手術と,門脈系,下大静脈系の減圧をはかるbypass手術があるが,手術成績や遠隔予後にはいまだ問題があり,議論の余地を残している.今回,肝硬変を合併した本症例に対し,部分体外循環下に直達手術を施行し良好な結果を得たので報告する.
症例は67歳女性で,腹壁および両下肢の静脈怒張と肝機能障害を呈し,血管造影にてBudd-Chiari症候群の診断を得た.手術は部分体外循環を用いて,肝部下大静脈閉塞部を自己心膜パッチにて拡大する直達手術を施行した.
本症に対する手術の要点は,(1)下大静脈血流遮断時間の短縮,(2)術中の肝庇護,(3)肝静脈の再開通であり,部分体外循環を用いた本法はこの観点からも,また術中の出血量の減少の点からも有用な方法と考えられた.
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