日本臨床外科医学会雑誌
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CT画像上興味ある形態を示した胆嚢周囲膿瘍壁内型の1例
根本 雅明大下 栄作前田 光久小暮 公孝
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1997 年 58 巻 4 号 p. 860-863

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抄録

胆嚢炎による胆嚢粘膜の壊死,穿孔部分から感染胆汁が胆嚢腔外に漏出することにより胆嚢周囲膿瘍が形成されるが,興味深いCT像を示した壁内型胆嚢周囲膿瘍を経験したので報告する.症例は75歳の男性で食後,突然の右季肋部痛発作で来院した.術前の胆嚢の横断CT像で漿膜下に限局して著明な液体貯留が認められ,筋層,粘膜層が萎縮し胆嚢内腔が極度に狭小化し,あたかもレコード盤状の画像が示された.術中所見では胆嚢漿膜下に多量の膿汁が充満しており,切除標本ではCT像に示されたように漿膜下に限局して全周性に膿瘍が形成され筋層,粘膜層の萎縮により胆嚢内腔が極度に狭小化していた.膿瘍が形成される部位により1:胆嚢床型(肝内型), 2:壁内型, 3:腹腔内型の3型に分類されているが自験例は典型的な壁内型胆嚢周囲膿瘍と診断された.

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