日本臨床外科医学会雑誌
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Meigs症候群を合併した局所進行乳癌の1例
尾浦 正二櫻井 武雄吉村 吾郎玉置 剛司梅村 定司粉川 庸三
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1997 年 58 巻 5 号 p. 981-984

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抄録

症例は, 60歳女性.皮膚病変を伴う右乳房腫瘤を主訴に来院.胸部CTにて胸水を認めたが,胸水細胞診で悪性細胞を認めず,他の遠隔臓器にも異常を認めなかったことから,乳房腫瘤の穿刺吸引細胞診でPapanicolaou class 5との結果が得られた後に非定型的乳房切除手術を施行した.術後補助化学内分泌療法にても胸水には変化がみられなかった.乳癌術後7カ月目に下腹部の腫瘤を発見し,手術を施行したところ,右卵巣莢膜細胞腫と判明し,卵巣腫瘤摘出後には胸水が完全に消失したため, true-Meigs' syndromeによる胸水と判断した.乳癌にMeigs症候群が合併したとの報告は,これまでに本邦ではなされておらず,本例が初報告例と思われる.

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