日本臨床外科医学会雑誌
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絞扼性イレウスをきたした右十二指腸傍ヘルニアの1例
伊藤 義也黒山 信一中村 考伸塚本 秀人佐藤 光史柿田 章
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1997 年 58 巻 7 号 p. 1519-1522

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抄録

絞扼性イレウスをきたした右十二指腸傍ヘルニアを経験したので報告する.症例は18歳女性で腹痛を主訴に来院した.右中腹部に手拳大の著明な圧痛を伴う腫瘤を触知した.腹部CT検査で小腸係蹄の嚢状集積像と肥厚した腸間膜および腸間膜内の血管を示す線状構造を認めた.これらの所見から絞扼性イレウスが考えられ,開腹したところ小腸が右十二指腸傍付近からヘルニア嚢内に嵌頓し右十二指腸傍ヘルニアが認められた.小腸を用手的に整復しヘルニア門の閉鎖を行った.十二指腸傍ヘルニアは内ヘルニアのひとつで日常診療上稀な疾患であり,イレウスをきたす症例ではとくに術前診断が困難である.しかし自験例にみられたように腹部CT検査で小腸の嚢状集積像がみられることが特徴とされ腹部CT検査が有用である.開腹歴のないイレウスでは十二指腸傍ヘルニアの可能性を考慮する必要性があるものと考えられた.

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