林業経済
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1990年代以降のシイタケ産地の動向と課題(原著論文)(特集 特用林産)
岩手県を事例として
伊藤 幸男石川 陽子石川 歩
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2009 年 62 巻 1 号 p. 1-15

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抄録

本稿の課題は、1990年代に輸入シイタケの増加によって生じたシイタケ生産・流通の構造変化のもとで、個別のシイタケ産地がどのような動向と実態にあるのか、またそこでの生産・流通の課題について明らかにするものである。分析対象とした岩手県においては、農林家の複合経営によって担われていた乾シイタケ、原木生シイタケが生産量、生産者数ともに大きく減少し、一方で菌床生シイタケが地域的な取り組みによって産地化に成功している。単価が大きく下落した乾シイタケでは、施設化による生産量と品質の確保が、原木生シイタケは、大手スーパー等に対する定時、定量、通年出荷の実現が、今日の経営を安定化させる条件となっている。また、これらに対応出来ているのは専業的な生産者であった。菌床生シイタケは、一定以上の生産量を確保するための地域的・組織的取り組みが不可欠である一方、安価で品質の良いホダ玉の確保が課題となっている。

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© 2009 一般財団法人 林業経済研究所
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