2013 年 66 巻 7 号 p. 1-16
本研究では、森林組合の林産事業の展開と職階別職務分担がどのような関係にあるのかを明らかにするため、全国の森林組合を対象としたアンケート調査と、高知県・岐阜県・福島県下の森林組合の全役職員・従業員個人を対象としたアンケート調査を行うとともに、同3県下で林産事業が活発な3組合への実態調査を行った。分析の結果、(1)高知県香美森林組合では、現場に詳しい経営トップの指示により各職階が意思決定を分担し、(2)岐阜県東白川村森林組合では、低い職階でも比較的上位の意思決定を担当しており、(3)福島県東白川郡森林組合では、経営トップが多くの段階で中心的に意思決定を担っていることが明らかとなり、それぞれの地域において比較的林産事業が活発な組合は、各地域の森林資源や林業構造などに適合させた組織運営を行っていると考えられる。