林業経済
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参加型森林管理の類型化(総説論文)
政府の関与と住民の関与の変化に着目して
山内 弘美
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2015 年 68 巻 9 号 p. 1-18

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抄録

参加型森林管理は、政府による中央集権的森林管理の限界及び開発援助における参加型アプローチの主流化を背景として「政府が実施してきた森林管理への住民の参加」、あるいは「政府が実施してきた森林管理の住民への委譲」と捉えられてきた。これらの概念に基づき、住民の参加を促進することに重点を置いた施策・支援が講じられてきたが、必ずしも参加型森林管理の推進につながらなかった。本稿では森林管理における政府の関与及び住民の関与の変化に着目して、参加型森林管理を「政府が実施してきた森林管理への住民の参加」、「実質的に森林管理が行われていなかったところでの新たな森林管理の設定」、「住民による伝統的・慣習的森林管理の合法化」の3つに類型化し、類型ごとに講じるべき施策・支援を提言した。さらに3類型に共通する施策として、管理段階における政府と住民の協働の強化、住民による自発的な管理への移行による参加型森林管理の持続性の確保等を提言した。

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© 2015 一般財団法人 林業経済研究所
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