林業経済
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需給調整が困難化する林業用苗木の生産及び流通の現局面(論文)(特集 林業種苗生産の現状と課題(3))
都築 伸行
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2016 年 69 巻 4 号 p. 1-16

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抄録

本稿では近年の林業用苗木に関する生産及び流通の動向を、沖縄を除く46都道府県調査の結果と統計資料から地方別に分析し、特に北関東地方の需給調整事例について考察を加えた。近年、造林面積の減少に伴い林業用苗木生産は減少傾向にあり、かつて民営で年間10数億本を超えていた生産本数は2013年度には5,600万本となっている。しかし、 皆伐による木材生産が活発化する地域もあり、それらの地域では再造林のための林業用苗木の不足が懸念されているが、林業用苗木生産者は激減し1千人となるとともに、高齢化が進んでいる。都道府県調査の結果から、いくつかの県で林業用苗木の供給は不足しており、他県で生産された林業用苗木を移入しているなど、県内での需給調整から苗木配布区域内のような広域での需給調整の必要性が高まっていた。また、一部の都道府県ではコンテナ苗生産を契機に新規参入や新しい生産設備の投資に向けた動きがみられた。

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© 2016 一般財団法人 林業経済研究所
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