林業経済
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木材価格における季節要素の析出と構成要素の類似性の検討(論文)
林 宇一 立花 敏
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2016 年 69 巻 9 号 p. 1-17

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抄録

1975年1月から2014年12月を期間として国産材、米材の丸太・製材品11種の価格について状態空間モデルを作成し、トレンド成分、定常AR成分、季節成分を析出した。その結果、トレンド成分は実測値にほぼ沿い、定常AR成分、季節成分の比率は小さいことがうかがえた。定常AR成分は1980年前後、1987年、1997年、2013年に大きな変動を複数の材で示し、季節成分ではヒノキ、スギ、マツの丸太で季節の変動が大きかった。また定常AR成分、季節成分で複数の樹種・材種間において似た動きが確認された。定常AR成分、季節成分に関して類似性を基に階層クラスター分析を行なったところ、スギ中丸太とヒノキ中丸太など生産・流通体制が似ている、もしくは代替性が強い樹種・材種において成分レベルで類似性が見られた。一方、カラマツ中丸太、ベイマツ平角、ベイツガ丸太でも類似性は見られ、そこまで関連性が強くないと考えられる樹種・材種間でも類似性がうかがえる結果となった。

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© 2016 一般財団法人 林業経済研究所
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