林業経済
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競争政策からみた森林政策の論点(論文)
ドイツ連邦カルテル庁によるバーデン・ヴュルテンベルク州の森林行政に対する問題提起より
石崎 涼子
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2017 年 70 巻 3 号 p. 10-23

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抄録
2015年7月、ドイツ連邦カルテル庁は、バーデン・ヴュルテンベルク州と私有林所有者、団体有林所有者による木材共同販売が同国の競争制限禁止法の違反行為であるとの決定を下した。この決定は、自由競争の促進を目的とする競争政策の観点から森林政策のあり方について問題提起を行ったものである。本稿では、この決定に至る議論の展開と連邦カルテル庁の見解を把握することにより、競争政策からみた森林政策の論点を明らかにし、考察を加えた。その結果、連邦カルテル庁の判断と見解は、森林を所有する政府が自己所有林以外の森林から生産される木材に関わる情報を得るような業務を行うことに対する懸念、政府による森林所有者支援策に対する民業圧迫の懸念、供給量の制御による価格への影響の懸念を含むものであることが明らかとなり、競争政策の観点から森林政策の必要性に関わる問いを投げかけるものであることが示唆された。
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© 2017 一般財団法人 林業経済研究所
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