抄録
都道府県による市町村の補完・支援は、多様な市町村のあり方を可能にする上で重要な役割を果たしてきた。近年は市町村との対等な関係を前提に、協働・連携が模索されている。本研究では、岐阜県と長野県を事例として、地方分権一括法以降から森林環境譲与税導入後までの支援内容や課題を把握した。岐阜県は、市町村の役割を明記した県の基本条例を根拠に、市町村への人材派遣や市町村森林管理委員会の設置支援などの垂直的な支援を実現してきた。他方、長野県は、県下の市町村の数の多さに加え、県と市町村の対等性を尊重した条例を策定したものの、効果的な支援を展開できずにいた。しかし、森林環境譲与税の導入を契機に、複数市町村の水平連携に基づく組織に県も参画するという、広域的な対応を模索している。支援の実現に向けては、費用や人員負担の公平性、市町村の独自性の尊重・確保などの課題に加え、協働の効果を見いだすことができるかが重要である。