抄録
スギの成長がよい宮崎県では近年主伐による素材生産量の拡大が著しく、その生産量の持続が可能か懸念が生じている。本研究では、素材生産量の持続可能性をシミュレーションする一手法を提案し、宮崎県民有スギ人工林に適用した。流域ごとに設定した素材生産目標量をいつまで維持できるかを、再造林率、伐採不可能資源割合の仮定のもと計算し、また政策オプションとして、再造林率向上、伐採不可能資源復帰、生産量の流域間調整が生産維持可能年数延長にもたらす効果を評価した。流域によっては持続可能性が危うく、政策オプションの実現が求められることを示す結果が得られるなど、シミュレーションとそれによる政策オプションの検討は有意義で、今後主伐が増えていく中で地方林政にとって有効なツールとなると考えられた。