林業経済
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北海道における林業用苗木生産の季節性とその緩和策(論文)
安村 直樹 立花 敏斉藤 奈央子
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2019 年 72 巻 5 号 p. 1-16

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抄録

北海道の苗木生産作業の季節性緩和策について考察することを目的に、苗木生産業者15社の概要、年間作業暦と労働生産性を把握する聞き取り調査を行った。必要労働力は春と秋にピークがある一方で、冬はピーク時の3割であるため、季節性の緩和により通年雇用の拡大余地がある。また、労働力不足対策としてコンテナ苗が期待されている。作業暦と生産性の分析から裸苗・コンテナ苗ともに出荷がボトルネックになっていること、コンテナ化により作業時期が分散するものの、分散が不十分かつ生産性が裸苗よりも低いことから、コンテナ化は労働力不足対策として期待を満たしていない。仮にコンテナ苗のシェアが10倍になった場合、必要労働力は1.3~2倍となってコンテナ化はむしろ季節性を強める。季節性の緩和策として、選苗による冬作業の確保、春と秋に集中する出荷時期の拡張、現在の作業見直しや機械化促進による生産性改善の3点を指摘できた。

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© 2019 一般財団法人 林業経済研究所
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