林業経済
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林業公社解散後における分収造林地の管理経営の現状(論文)
広島県県営林を事例として
福田 淳
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2019 年 72 巻 6 号 p. 1-16

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抄録

林業公社については、平成21(2009)年に「林業公社の経営対策等に関する検討会」が報告書をとりまとめて以降、14府県で抜本的な経営の見直しが行われ、うち10府県では、林業公社の解散に伴い、分収造林地が府県営化された。広島県では、平成25(2013)年の広島県農林振興センターの民事再生以降、同センターの分収造林地を既存県営林と一体化させ、県営林事業費特別会計により、体系的な管理経営を行ってきた。県営化から最初の5年間は、当初計画を2年前倒しして経常利益の黒字化を達成した。その要因として、①P/L作成による経営状況の「見える化」、②委託事業者の活用による素材の有利販売、③森林資源の成熟による主伐の増加が挙げられる。他方、事業地や事業体の確保が困難になりつつあるとともに、将来的には、主伐期に達する林分が一気に増加することが見込まれる。各地の林業公社の解散に、多額の府県民負担を要したことを踏まえれば、他府県でも、府県営化した分収造林地の経営状況を明確に示していく必要がある。

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© 2019 一般財団法人 林業経済研究所
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