ドイツ林業は活性化を呈しており、それを裏付けるように木材生産量は拡大を示している。ドイツ林業が活性化した背景には、ドイツの製材業における生産集中化、輸出産業化があり、生産の集中化が進むことで製材業の寡占化が進んでいることがあげられる。それに対して木材供給側はというと、小規模、分散、間断的な生産で、そのような生産構造を変えることは容易ではない。そこで、小規模、分散、間断的に生産された木材を森林所有者による協同組織である森林組合が集約して、需要者である製材業にまとまった量を安定的に販売する仕組みが1990年代頃から形成されてきた。2000年代に入って製材業の寡占化はさらに進み、それに対処するために森林組合の連合会(林業連合)が設立され、木材供給の大口化、販売窓口の一本化が進んだ。このようなドイツの供給側の対応は、供給側の交渉力の強化につながったことと需要側の急激な変化に対して迅速に適応できたことで意義があった。