林業経済
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西川林業地における1990年代以降の木材流通の変化(論文)
茂木 もも子 立花 敏
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2021 年 73 巻 10 号 p. 2-17

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抄録

既往研究によると、国内木材流通において1990年代半ば以降に集成材や機械プレカットの拡大、大規模製材工場における直送流通等が進んだ。本研究では、埼玉県西川林業地における原木市売市場を核とした取引や小規模事業体で構成される木材流通を対象に、1990年代以降における従来型流通の市場対応に伴う木材流通構造の変化を把握することを目的とした。手法として統計資料調査に加え、域内事業者に対して取扱量、売り方(購入先)と買い方(販売先)の変化等に関する聞き取り調査を行った。その結果、1990年代初頭に製材工場は100以上、原木市売市場は7あったが、現在は16、2へそれぞれ減少し、原木価格も低下傾向にあること、それには役物製品の需要減少や西日本からの買い方の減少が影響したことを把握した。現在も稼働する製材工場は工務店と直接取引を行い、プレカット工場はプレカット加工に加え家具・建具の生産・販売を行うなど、従来型流通とは異なる展開がみられることも明らかになった。

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© 2021 一般財団法人 林業経済研究所
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