林業経済
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住民組織主導による荒廃林整備と森林空間利用の展開と可能性(論文)
島根県における2つの事例から
笹田 敬太郎 都築 伸行
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2020 年 73 巻 6 号 p. 1-20

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抄録
森林整備や管理の担い手不足が見られる地域では、事業体や市町村による森林整備に限りがある。そうした地域において、住民組織主導で森林整備・森林空間利用に取り組んだ2つの住民組織とその関係機関へ聞き取りを行い、取り組みが可能となった要因と課題、得られた成果を明らかにし、展開の可能性について検討した。その結果、地区内の人材と自治体を通じた技術習得、補助金が取り組みを可能にした一方、人材育成と参加の広がり、自治体・事業体との連携、管理の継続性に課題が見られ、両地区では参加世代や活動の広がりに違いが見られた。住民組織による活動は、住民の意向の反映や地域づくりとの連動の面で意義があり、問題意識や目標の共有と森林整備が結びつくことで展開していく可能性がある。今後は、住民の意向の反映や合意形成の面で住民組織の位置づけを見直すとともに、関係者間での連携が求められる。
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© 2020 一般財団法人 林業経済研究所
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