抄録
本稿では郊外に存在する里山を主な対象として、関連文献のレビューから、現在生じている問題と、それを乗り越えていく今後のあり方を考えていくための道筋を示すことを試みた。そのためにまず、里山という用語が2000年代以降、持続可能性概念と接合しながら急速に普及していったことを整理した。次に、その理念に基づいた里山保全が現在頭打ちにあることを確認し、その背景として、とりわけ郊外社会では、①研究者や政策決定者たちが抱く「期待」をもとにして実施されようとする動員がボランティア参加者へ及ぼしている問題があること、②新たな担い手として期待される市民と、歴史的に里山を利用してきた地元住民との分断状況があったこと、を確認した。最後に、郊外の里山のあり方を考えていくうえでの要点として、従来の研究で焦点があてられることがほとんどなかった、郊外社会で里山を利用してきた地域住民の立場に迫ることの必要性を示した。