林業経済
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建物取引制度における建物台帳の位置づけ(論文)
国家公簿である地券台帳、土地台帳、 および家屋台帳との関係に着目して
松村 菖 竹本 太郎
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2025 年 78 巻 1 号 p. 1-17

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抄録
民有の建物情報が全数調査的に収集された近代の帳簿は、一般に建物台帳等と呼ばれる。本稿では、建物取引制度における建物台帳の位置づけを明らかにした。1872(明治5)年の地券制度を模倣する形で誕生した建物台帳は、1875(明治8)年に建物公証制度が成立して以降、戸長役場に提出された書面を照査する帳簿として、多くの府県で独自に作成された。1887(明治20)年の旧登記法施行後は、建物台帳は専ら最初に登記する際の所有者証明において使用され、1899(明治32)年の旧不動産登記法施行後には、課税台帳としての建物台帳が家籍簿としての機能も担った。1940(昭和15)年に国家制度化した家屋台帳は、1950(昭和25)年には、登記所が保管する家屋台帳原本と役所が保管する家屋台帳副本とに機能が二分し、それぞれ家籍簿および課税台帳として使用された。家屋台帳は旧来の建物台帳を国家制度化したものといえる。個別具体的な使用状況等は今後の課題とする。
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