抄録
本論文では、森林総合利用施設の整備に関する政策を概説した上で、1980年代と2020年代を比較し、存続・廃止の有無や、設備の変遷を把握した。1970年代から90年代前半まで、林業構造改善事業などの補助金事業を活用した森林総合利用施設の整備が活発に行われていた。1980年代後半のガイドブックに掲載されていた382件の森林総合利用施設のうち、2024年時点で約3割の施設が廃止されていた。平成期の市町村合併を経験した市町村に存在する施設ほど、廃止している割合が高かった。1980年代には盛んに整備されたフィールドアスレチック、テニス場、スキー場などは、2020年代には減少するなど、時代ごとの傾向がみられた。管理運営については、公共的団体が指定管理者となる事例が多くみられた。今後、森林総合利用施設の老朽化が進行し、十分な再投資が行われない場合、いわば「限界森林レクリエーション地域」とも呼ぶべき空白地帯が、山村地域に出現するおそれがある。