2017 年 12 巻 1-2 号 p. 82-102
フランス語は日本各地で,幅広く教えられている。語学教室でも,大学でも,47都道府県で勉強することができる。そして,日本におけるフランス語教育は本質的に「グローバリゼーション」という概念に大きく左右されていると言える。それは,日本人フランス語学習者はグローバル化に及ぼされている社会文化経済的な変化に影響されているからである。
日本で働いているフランス語の教師はその「グローバル化し続ける環境」に適応するために,使用している教科書の内容を修正し,「言語への目覚め」を推進するICTを開発するようになった。しかし,そのグローバル化している現在の日本におけるフランス語学習環境のことを,「ローカル」な日本人フランス語学習者はどう感じているのだろう?学習者のモチベーションはフランス語を学習している地方の環境によって異なっているのだろうか?
本稿では,モチベーションに関する気づきの度合いを測るアンケートを用い,狭い沖縄県(面積)と日本のグローバル化の象徴である東京都の大学生とフランス語教室の学習者に協力してもらった。本稿の比較研究の結果を見ると,フランス語教室の学習者は学習環境関係なく東京でも沖縄でも高いモチベーションをもって勉強していることが観察できた。その一方,大学生のモチベーションの度合いに関しては,環境によって顕著な違いが観測できた。