抄録
韓国人男性と外国人女性との結婚の増加や,移民労働者や脱北者の大量流入により,韓国の学校では生徒の民族構成に変化が生じている。これまで長い間,学校は文化的に同質な住民に慣れ親しんできたが,今後は教育の中で彼らを考慮に入れるといった重大な課題に直面しなければならない。このような文脈の中で本稿は,韓国の現在の多文化教育政策と指導要領を記述する。また,多文化家庭出身の生徒,すなわち国際結婚によって生まれた子ども,移民労働者の子ども,脱北者の子どもという3つのグループをめぐる教育の現状を概観する。なかでも,この子どもたちの就学問題と学校で直面する教育上の課題を分析する。質的方法にもとづき,子どもや両親,教師の体験や個人史を検討し,韓国の多文化教育とその問題点に関する考え方を抽出したい。