Revue japonaise de didactique du français
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コルシカ島における二言語状況と併用公用語について(N^o 2 Etudes francaises et francophones)
長谷川 秀樹
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2014 年 9 巻 1-2 号 p. 209-224

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抄録

2013年5月,コルシカ議会はフランス語とコルシカ語の併用公用語規定を採択した。本稿ではこの併用公用語概念とそれに伴うコルシカ島における地域的言語政策について詳述するものである。はじめにコルシカ島における二言語あるいは多言語状況について通史的に説明したのち,1970年代に「方言」から「地域語」としてのコルシカ語の概念が形成され,それと同時に二言語主義が掲げられた状況について言及する。次に,二言語主義と併用公用語の差異について,主にフランスの社会言語学者で併用公用語概念を初めて用いたジャン=バプチスト・マルセルジの論考を事例に説明する。最後に当初の併用公用語概念と今回規定として成立した言語政策としての併用公用語の差異について明らかにし,地名等の分野では二言語よりもコルシカ語の単一言語化,公務員の人事等におけるコルシカ語の優位がみられることを結論する。

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© 2014 日本フランス語教育学会
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