長岡工業高等専門学校研究紀要
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報告
学生のニーズを基にした補習の提案と試行
技術職員による基礎物理学講座
渡邉 美奈子佐藤 秀一青柳 成俊
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2019 年 55 巻 p. 45-50

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抄録

一般科目の物理は高専における専門科目を学習する上で基盤となる重要な科目である.その為,本校では一般科目の物理を全学科2年生と3年生の必修科目として定め,その単位の履修を卒業の要件としている.一般的に,単位認定の合否は定期試験の結果で判断されるが,それだけでは学習内容の理解が定着したと断言することは難しい.その為,一般教育科の物理担当教員は学生支援の一環として,定期的な実力試験を実施して理解の定着度合いを測り,必要に応じて補習を行うなど,学生の理解度の向上・定着に努めている.試験や補習を繰り返し実施することは,学生・教員の双方にとって負担が大きいものの,その効果が理解度の向上に繋がっていないのが現状である.筆者はこの点に着目して学生への聞き取り調査を行い,補習の効果が現れない要因を探った.その結果,学生は「そもそも数式,或いは演習問題文の意味が分からない」こと,「補習や再試験に向けた自主学習を行っていない」ことが判明した.この事実を受け,学生のニーズを基にした補習のやり方を考案し試行したところ,受講した学生からは概ね好意的な反響が得られた. 本稿では,現状の補習とそれに関する学生への聞き取り調査から,学生のニーズを基にした補習の考案,試行,結果と今後の課題について報告する.

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