日本鍼灸良導絡医学会誌
Online ISSN : 1884-9253
Print ISSN : 0286-1631
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新しい疼痛治療体系に関する臨床的研究
田山 文隆無敵 剛介
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1988 年 17 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

東洋医学の古来より伝承された診断法は中国哲学を背景として極あて主観的であり,また治療法も手技が多岐に亘り,施術者の考え方にゆだねられている。そこで,疼痛に関する治療に際し,今回著者らは疼痛を実痛と虚痛に弁別する独自の診断法による新しい治療体系の確立を目的として,1978年の1カ年に本学麻酔科ペインクリニックに来院した患者を対象として神経ブロック療法と鍼治療の併用群と鍼治療のみの単独群の2群に分けて診療し,その結果を検討した。
(1)神経ブロックと鍼治療の必要性を認めた疾患群では38例中25例(65.8%)が著効,有効で, 9 例(23.7%)がやや有効, 不変は4 例(10.5%) であった。
(2)鍼治療のみでよいと認めた疾患群では,14例中全例が有効であり,疼痛緩和の累績効果をも認めた。
(3)両群とも発症初期の疼痛ほど治癒率は高かった。
(4)鍼刺激効果は疼痛のほか自律神経中枢を介すると思われる不定愁訴も消失する効果が期待出来る。

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