新砂防
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石材とコンクリートの付着強度について
モルタルによる実験
堀内 照夫
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1964 年 16 巻 4 号 p. 22-27

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抄録

石材とコンクリートの付着強度について研究することは, 玉石コンクリートの強度に関する欠点を排除するばかりでなく, コンクリートのあらゆる強度の根本となすものであってきわめて必要な課題であると考え, 本実験はその第一段階として石材とモルタルとについて行なった。石材の材質, 表面の状態, 施工方法の一部等について検討した。これ等を要約するとつぎのとおりである。
(1) 石材とコンクリートの付着強度は材質によって大きな差を示す。輝緑岩, 輝石安山岩が優れ, 白雲母花崗岩はやや劣っていた。以上3者の強度100に対し輝閃安山岩では70~80であった。
(2) 石材の表面が平滑であるか粗いかによって著しい差を示した。この場合表面の状態と配合比の間の交互作用は有意であった。即ち, 配合比1:2の場合粗石面は平滑面の2倍の強度であったが, 配合比1:1では両者の差は認められなかった。この原因は雲母の劈開性に由来すると考えられた。
(3) 石材とコンクリートの付着強度は, 同じ条件のコンクリートの圧縮強度100に対し, 平滑面6.6, 粗石面11.5であった。このとき曲げ強度36.2, 新旧コンクリートの付着強度13.8であった。
(4) 石材の表面へ予めセメントペーストを塗布したり, セメントに分散剤 (ポゾリスNo.5) を混用すると石材とコンクリートの付着強度を高める上に効果的であったが, 両者の効果には関連性が認められなかった。
(5) コンクリートの水セメント比を変えても中軟練り以上では石材とコンクリートの付着強度は変らなかった。即ち, 水セメント比よりもコンクリートの軟度に影響を受けることが知られた。
(6) コンクリートを締め固める際にバイブレーターを使用すれば (5) と同様に完全付着が得られ, 付着強度を高める上に好結果をもたらした。バイブレーターを使用した場合と, 突棒で突き固めた場合の石材とコンクリートの付着強度は100:60であった。
(7) 養生中に乾燥すると石材とコンクリートの付着強度は著しく低下する。常温水中養生による付着強度100に対して常温空中養生 (湿度65%) では23であった。この場合, 含水量の小さい花崗岩では特に小さかった。
(8) 石材とコンクリートの付着強度は, 低温で養生されると圧縮強度における場合と比較して著しく低下する。そして凝結期間中に一度凍害を受けると, その付着面が完全に遊離し, その後常温養生しても最早付着力は回復しない。

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