新砂防
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アカマツ林に於ける地位の衰退と植生との関係
成田 恒美三宅 正高尾 旭
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1956 年 1956 巻 22 号 p. 17-21

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抄録

1 アカマツ林を林分の林齢と林分平均樹高とによって, 普通林区, 瘠惡林区, 荒廃林区の3林区に区分した。
2 各林区について無作為に夫々標本区9ケを設定し調査した。
3 出現した種の総数は97, その内94が普通林区に, 54が瘠惡林区に, 36が荒廃林区に出現した。普通林区に出現した種が減じて瘠惡林に, 更にその内から種数が減じて荒廃林に出現した。
4 被度は喬木層, 灌木層共3林区間に有意の差は認められなかった。草本層に於いては有意の差が認められた。平均被度を各種毎に比較して殆んど全部の種に於いて林区間に有意の差を認めなかったが, アカマツ更新層 (灌木層のアカマツ) では林区間に有意の差が認めちれた。
5 普通林の瘠惡化を示す指標植物はクロモジ, ヤブコウジ, シシガシラであり, その指示方法はこれ等の種がなくなれば瘠惡化を示す。次に瘠惡林の荒廃化を示す。指標植物はコバノガマズミ, ツルアリドウシ, ゴキダケであり, 前二者がなくなれば荒廃を指示する。ゴキダケは少し異りその出現が著しく少くなることによって荒廃しつつあることを示す。

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