抄録
マヨン火山はフィリピンのルソン島南部に位置する活火山であり, 噴火の記録は1616年から44回を数えている。噴火の度に, 不安定土砂が生産され, 火山泥流や土石流が頻繁に起こり, 火山周辺の家屋に被害を与えている。
パワ・ブラボド川はマヨン火山の南東斜面を流下しており, 最も危険な漢流として指摘されている。パワ・ブラボド川を流下する土石流は深刻な災害を引き起こし, 流出土砂はレガスピ市街地を貫流するヤワ河の河床を上昇させている。また, パワ・ブラボド川上流には1984年噴火時に形成されたボンガ火砕流堆積地が近接しており, 将来侵食により, パワ・ブラボド川に繋がり, 土砂の大規模な生産源になることが念懸されている。
パワ・ブラボド川における, 土石流対策と土砂流出対策については, 火山斜面上に幾つかの遊砂空間を設定することが必要である。また総合的な火山災害対策も緊要である。