日本酒学ジャーナル
Online ISSN : 2758-142X
フランスにおける日本酒の認知度と普及の可能性
フランスにおける消費者とソムリエへのアンケート調査を通して
川本 美希
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2022 年 2022 巻 1 号 p. 2-29

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抄録

本稿は、日本の代名詞である日本酒の、フランス国内での認知度と普及の実態について明らかにし、今後の日本酒市場の海外での発展について考察するものである。近年、日本国内での日本酒の消費は減少の一途を辿っている。休廃業する酒蔵も増え、日本酒の新たな販路の開拓が急がれる。そんな中、海外への日本酒輸出量は年々増加する傾向にある。そこで、本研究では、日本酒の単価がもっとも高い国の一つであるフランスを対象に、日本酒が実際どのように海外で受け入れられているのかを調査した。研究方法として、フランス在住の消費者92 名と、日本酒コンクールのクラマスター審査員であるソムリエ96 名にアンケート調査を行い、分析と考察を行なった。その結果、消費者アンケートでは、日本酒は日本食に合わせるアルコールであるという、従来の典型的なイメージからの脱却が見られると同時に、日本酒のフランス食文化への浸透の可能性を確認できた。一方、ソムリエアンケートでは、日本酒が徐々にソムリエを通してフランスの美食界に参入を図る中で、今もなお日本酒に関する情報や教育が不足していること、ワイン文化が根づくフランスにおいて、日本酒の立ち位置を明確化させる必要性が明らかになった。

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© 2022 本論文著者
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