2017 年 30 巻 2 号 p. 51-63
聴覚に障害をもつ特別支援学校の中学生は,学校での対人関係につまずき,別室登校をして,個別指導を受けている。本事例は,母親と子が同席してのプレイセラピーで,セラピストと3人の共同作業によって行われたものである。粘土を使った生き物図鑑の制作と,その作業の中で語られる,楽しく暮らすヒントを記述したお話メモの共有により,他者とのもの作りの楽しさや,意思のやりとりを日常生活につなげることができた過程を報告するものである。本事例を通して,クライエントの特性を生かした関わり,支援の在り方や工夫,今後の課題を考察する。