2021 年 33 巻 3 号 p. 71-80
ある中国人女性が,母親に赤ん坊の世話をしてもらうため,拡大家族の一員として母親の家に戻った。自分の母親と子どもとの三角関係から葛藤が生じて,当初の計画は結局失敗に終わった。この失敗をきっかけに,彼女はBowenの家族理論,夢分析,ソマティック・エクスペリエンシング,箱庭療法などのセラピーを受けることになった。このクライエントは,拡大家族からの物理的な分離,母親コンプレクスからの分化,そして個性化へ向けて母親になることへのイニシエーションに取り組んだ。箱庭療法過程は,おとぎ話,記憶,夢,身体的感覚から引き出された内なるイメージの容器の役割を果たした。これらすべてのことは,究極的な織り手としてのセルフ元型によって糸が織り上げられたようであった。