産婦人科の進歩
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臨床研究
滋賀県の郡部における女性性器クラミジア感染症の罹患状況
熊谷 広治明瀬 大輔平井 隆次植木 實林 嘉彦
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2003 年 55 巻 2 号 p. 178-183

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抄録

2001年に厚生労働省の研究班が行った全国9モデル県での調査によると,性感染症のうちもっとも無症候化しつつ拡散しているのは性器クラミジア感染症であり,男性より女性の罹患率が高い.われわれは,2001年6月から2002年5月までの1年間に公立甲賀病院産婦人科において,甲賀郡・蒲生郡に在住する480例の後腟円蓋部から子宮頸管分泌物を採取し,polymerase chain reaction(PCR)法によりクラミジア・トラコマチスのDNAを検出した.クラミジア抗原陽性率は, 15~19歳群で17.8%と最高値を示し,おおむね年齢が若い群ほど高値を示した.居住地域別の陽性率は,各町のそれぞれで0.0~13.9%の値を示した.陽性者の主訴は,帯下感,下腹部痛,不正性器出血,挙児希望,無症状がそれぞれ, 23.3%,43.3%,6.7%,3.3%,23.3%を占めていた.滋賀県に在住する10~30歳代の女性に対して,症状の有無にかかわらず,積極的にクラミジア検査を行うべきである. 〔産婦の進歩55(2):178-183, 2003(平成15年5月)〕

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© 2003 近畿産科婦人科学会
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