産婦人科の進歩
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症例報告
腹腔鏡下子宮内膜症手術後に再発する骨盤痛にジエノゲストを長期投与した1例
熊谷 広治奥田 喜代司寺井 義人安田 勝行山下 能毅大道 正英
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2012 年 64 巻 1 号 p. 41-48

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抄録

腹腔鏡下子宮内膜症手術後に再発する骨盤痛に対してジエノゲストを長期投与した1例を経験したので報告する.症例は,初診時38歳(現在46歳)の2経妊,1経産の女性で,月経期および月経周辺期の骨盤痛を訴えて来院した.低用量ピル(low dose estrogen progestin,以下,LEPと略す)等の内服でも疼痛が持続し,また両側卵巣にチョコレート嚢胞を認めたので腹腔鏡下手術を行い子宮内膜症のrevised american society for reproductive medicine (r-ASRM) stage IVと診断した.同時に両側付属器周囲癒着剥離術,両側チョコレート嚢胞摘出術,ダグラス窩癒着剥離術,子宮筋腫核出術を施行し,術後2年間にわたり再びLEPを投与したが,しだいに疼痛が増強したためジエノゲスト2mg/日を22週の休薬期間を挟んで56週と81週の合計137週にわたり長期投与し,疼痛はほぼ軽快した.治療中,軽度のめまいと少量の不正出血以外に明らかな有害事象は認められなかった.ジエノゲストは子宮内膜症の術後に行う薬物療法の有望な選択肢であり,長期にわたって有効かつ安全に使用できる可能性がある.〔産婦の進歩64(1):41-48,2012(平成24年2月)〕

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© 2012 近畿産科婦人科学会
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