産婦人科の進歩
Online ISSN : 1347-6742
Print ISSN : 0370-8446
ISSN-L : 0370-8446
症例報告
腟壁尖圭コンジローマにvaginal intraepithelial neoplasiaを併発した若年初産婦の1例
浮田 美里浮田 祐司上東 真理子小熊 朋子原田 佳世子田中 宏幸澤井 英明柴原 浩章
著者情報
キーワード: VAIN, CIN, 尖圭コンジローマ, 妊娠
ジャーナル 認証あり

2017 年 69 巻 2 号 p. 113-118

詳細
抄録

VAIN(vaginal intraepithelial neoplasia)は異型重層扁平上皮の増殖を示すが,間質浸潤をきたしていない病変であると定義されている.VAINは人口100万人に2~3人程度の発症頻度とされ,CIN(cervical intraepithelial neoplasia)と比べるときわめて少なく,また治療法も確立されていない.今回,妊娠経過中に淋菌およびクラミジア頸管炎に尖圭コンジローマとVAIN1(軽度異形成)を併発した症例を経験した.淋菌およびクラミジア頸管炎に対しては薬剤投与により治療を行った.また妊婦健診の際の腟鏡診で乳頭状イボを認め,診断と治療を兼ねて乳頭状イボの切除ならびに焼灼術を施行した.腟壁から採取した病理組織標本により,尖圭コンジローマおよびVAINの診断に至った.術後,定期的に経過をみているが再発は認めていない.VAINはHPV感染(とくにハイリスク)が発生に関与している可能性が高いとされている.VAINはCINに比べて10~20歳ほど高年齢層にピークがあるといわれているが,CINの若年者の発生率が増加しており,本症例のような淋菌やクラミジアによる頸管炎等の性感染症にはHPV感染を考慮し,若年者においてもコルポスコピーやSchiller試験を活用し,子宮頸部だけではなく腟,外陰を含めた病変の検索も念頭に置く必要がある.〔産婦の進歩69(2):113-118,2017(平成29年5月)〕

著者関連情報
© 2017 近畿産科婦人科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top