産婦人科の進歩
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症例報告
腸閉塞を契機に発見されたparasitic leiomyomaの1例
三宅 龍太永井 景松原 翔小川 憲二安川 久吉赤田 忍
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2018 年 70 巻 3 号 p. 296-304

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抄録

Parasitic leiomyomaとは,遊離した子宮筋腫が異所性に他臓器からの栄養血管を得て生着する疾患である.今回われわれは,腹腔鏡下手術後のparasitic leiomyomaに卵巣嚢腫の茎捻転,腸閉塞を合併した症例を経験したため報告する.患者は44歳でG0であり,性交歴はなかった.既往歴に子宮筋腫があり,39歳時に他院で腹腔鏡下子宮腟上部切断術が施行され,子宮はモルセレーターで回収されている.下腹部痛,発熱,嘔吐を主訴に受診し,CT,MRIで腸閉塞,左卵巣嚢腫茎捻転とこれに接して10cm超の充実性腫瘍を認めた.試験開腹術にて左卵巣茎捻転およびS状結腸から栄養血管を得た充実性腫瘤を認め,それらの間に小腸が巻き込まれ腸閉塞を形成していた.二期的に腫瘍とS状結腸の合併切除術を施行し,病理検査よりparasitic leiomyomaと診断された.術後経過は良好であり,1年間再発を認めていない.[産婦の進歩70(3):296-304,2018(平成30年8月)]

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© 2018 近畿産科婦人科学会
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