産婦人科の進歩
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研究
腹腔内に迷入したレボノルゲストレル放出子宮内システムを腹腔鏡にて安全に摘出しえた1例
天野 泰彰安彦 郁田村 紗也勝又 美柚渡部 光一江本 郁子宇治田 麻里髙尾 由美
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2021 年 73 巻 3 号 p. 328-333

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抄録

LNG-IUS(レボノルゲストレル放出子宮内システム)は,安全性が高く可逆的な避妊手段として用いられる他,月経困難,過多月経に対する治療薬として保険適応となり,現在広く用いられるようになってきている.それに伴い,子宮穿孔など重篤な合併症についても散見されるようになった.今回,LNG-IUSの腹腔内への迷入のため当科紹介となり,腹腔鏡下に安全に摘出しえた症例を経験したため文献的考察を交えて報告する.症例は30代女性で経産婦,帝王切開術既往あり,過多月経の訴えで前医受診,器質的異常を認めず,LNG-IUS留置にて症状コントロールの方針となった.留置後1カ月後にフォローアップで診察を受けたところ,子宮内にLNG-IUS確認できず,X線透視にて子宮外にLNG-IUS陰影を確認されたため当科紹介となった.CT,MRIにて診断確定し,腹腔鏡手術にて摘出を行った.LNG-IUSを含むIUD(子宮内留置型避妊器具)の子宮穿孔,腹腔内への迷入は低頻度ながら時に消化管穿孔や膀胱穿孔を生じうる重篤な合併症だが,腹腔鏡手術を行うことにより低侵襲で安全に摘出することが可能であった.今後もLNG-IUSによる子宮穿孔の早期発見やより安全で低侵襲な手術法を模索するため,症例の蓄積が必要と考えられる.〔産婦の進歩73(3):328-333,2021(令和3年8月)〕

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