産婦人科の進歩
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産婦人科領域におけるTriosorb testの応用
藤森 速水山田 文夫米川 和作浜田 和孝
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1968 年 20 巻 2 号 p. 115-120

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抄録
産婦人科領域における甲状腺の内分泌的意義の重要性は衆知の事実であり, 之に関する研究報告も数多くみる. しかし実際の甲状腺機能判定法は何れも臨床的には簡便かつ適確とは云い難く, その一つである131I-Na甲状腺摂取率測定もin vivoでIsotopeを使用せねばならず妊娠時には禁忌とされている. 今回吾々はIsotopeをin vitroで使用する甲状腺機能検査法Triosorb testを411名の患者に応用して次の如き知見を得た. 正常妊娠では妊娠3ヵ月頃より低値をとり始め産褥1ヵ月で正常に戻る. その低値の程度は時には甲状腺機能低下症より低い値を示すことすらある. 又, 切迫流産では正常妊娠に比較して高い値を示し之が切迫流産予知の可能性を示すものではないかと考えられる. その他不妊症, 卵巣機能不全症, 更年期婦人, 機能性子宮出血等にも本法を応用したが, ことに本法は吾領域では切迫流産の予知その他に有用と考える.
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© 近畿産科婦人科学会
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