産婦人科の進歩
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流早死産の疫学的検討(第1報)
椹木 勇竹口 尚道井上 武司後藤 寛
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1974 年 26 巻 4 号 p. 315-323

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抄録

死産の頻度は, 戦中戦後には40前後であったが, 戦後は人工中絶の増減に応じて死産率は増減している. しかし自然死産率, ことに妊娠第4月より第7月における頻度は, 生活環境の改善と, 産科学の進歩にもかかわらず, むしろ増加の傾向にある. また死産率は地方により異なり, 関東地域が一般に低く, 逆に北日本の一部ならびに中国・九州地区では高率であり, 特に人工死産率が高く, 医学的・社会的背景に問題を残している.
妊娠初期の流産率は, およそ20%内外と考えられているが, その実態は把握されがたい.
1970年度のわが教室の死産率は111.1と高率であったが, 自然流産率は63.7とほぼ平均的であった. その主症状は出血で, 大部分は2日内外で中絶に終るが, 15日以上持続するものもあり, 他方, 満期産中の切迫流早産治療例は21.0%を占め, 流産と診断された主症状としては疹痛であった. 従って, 出血を伴う流産徴候の予後については注意を要する.

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© 近畿産科婦人科学会
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