産婦人科の進歩
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外性子宮内膜症の成因に関する研究, 特に腹腔内子宮内膜細胞の検討
植木 実佐野 隆土居 荘之介池田 良施 秋欽平井 博杉本 修
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1976 年 28 巻 6 号 p. 581-585

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抄録

外性子宮内膜症の発生機序は Sampson の子宮内膜逆流説が有力な説とされているが, 腹水中の子宮内膜細胞に関する詳細なは告はみられない. この観点から月経期間における腹水の性状の観察と細胞学的検索を試み, さらに生存期間に関しては月経期間以後の腹水について検討した. この結果, 月経期間症例の78%に月経血の腹腔内逆流がみられ, 33%に内膜細胞が認められた. これらの内膜細胞は集塊をなし, 変性所見も少なく, 細胞学的所見から分泌期内膜と考えられた. また内膜細胞の腹腔内生存に関しては22日目の症例から内膜細胞の集塊が見出されたことより比較的長期間にわたって生存するものと思われた. 以上から外性子宮内膜症の発生に関する子宮内膜逆流移植説を肯定できる1つの根拠が得られた.

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© 近畿産科婦人科学会
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