産婦人科の進歩
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連続切片観察によるBrenner腫瘍の組織発生学的考察
矢島 康雄岡村 均吉田 吉信
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1980 年 32 巻 3 号 p. 217-222

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抄録

Brenaer腫瘍は大くは閉経後に見られる稀な良性充実性腫瘍として知られているが, その組織発生の由来については未だ定説が無い. 今回われわれは, その腫瘍発生初期と見られる極小な腫瘤から典型的なBrenner腫瘍に至るあらゆる段階の腫瘤を含み, さらにmucinous cystをも併存する標本を入手したので, 連続切片を作成し, 組織学的検討および文献的考察を試みた.
その結果, Bremer腫瘍の発生起源は卵巣表面上皮細胞と同じくcoelomic epitheliumであり, これまで発生起源の説明として主流を成し, Müller氏管のembryonic restと説明されてきたWalthard-明城細胞巣はBrenner腫瘍発生のごく初期の段階を示すものであり, この細胞巣もまたその発生起源をcoelomic epitkeliumに求めることができると考えた.

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© 近畿産科婦人科学会
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