産婦人科の進歩
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Rh Isoimmunization during Pregnancy
Takashi YAMADAMasaki GOTOMasatsugu UEDAMotonobu YOSHIKAWAYoshito IKEDAOsamu SUGIMOTOYasuo SEIKITakuji YOSHIKAWA
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1988 年 40 巻 5 号 p. 631-636

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抄録

血液型不適合妊娠の中でもRh式はよく遭遇する疾患であるが, Human Immunoglobulin Anti~D (抗D人免疫グロブリン) の普及により感作を受ける例が少なくなってきた.今回われわれは, 妊娠初期より間接クームス陽性の症例を経験したので報告し, 当院における過去15年間のRh (D) 式血液型不適合妊娠116例の検討を行った.
頻度は, 妊娠24週以降に分娩を行った総母体数7,105例に対して116例1.6%であった.初産婦57例 (49.1%), 経産婦59例 (50.9%), 年齢17~35歳 (平均27.3歳), 分娩時週数26~42週 (平均39.1週), 児の性別は男58例 (50.0%) 女58例 (50.0%), 体重1,000~4,020g (平均3,176g), Apgarscore8~10点117例 (94.8%) 5~7点6例 (5.2%) であった.母体血中の間接クームス陽性であったのは6例 (5.2%) で全例妊娠歴または輸血歴がある.抗体価が512倍以上の2例では, 児に対して交換輸血や輸血の治療を行っていた.妊娠初期の中絶によっても感作され得るので, 妊娠と診断後は, タイピングを含む血液型検査を直ちにするべきであり, 流産や中絶時においても抗Dヒト免疫グロブリン製剤投与を考慮すべきであると思われた.

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© The Obstetrical Gynecological Society of Kinki District Japan
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