山陽学園短期大学紀要
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切干大根摂取によるストレプトゾトシン糖尿病ラット小腸の形態変化
須見 登志子池田 智美
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2002 年 33 巻 p. 19-29

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抄録

5%セルロース食および5%切干大根食を、STZ糖尿病ラットに24日間摂取させ、切干大根の摂取がSTZ糖尿病ラットの小腸に及ぼす影響について、形態計測を含む組織学的観察を行い、次のような結果を得た。(1)糖尿病群では、切干大根食がセルロース食よりも空腹時高血糖値が有意に低下した。(2)セルロース食、切干大根食共に糖尿病群は対照群よりも小腸重量が増加した。小腸全長はセルロース食では糖尿病群が対照群よりも長く、切干大根食は対照群と糖尿病群の間に有意差はなかったが長い傾向であった。(3)組織学的観察から変化がみられたのは、十二指腸部と回腸部であった。十二指腸部においてはセルロース食の糖尿群は粘膜の肥厚や絨毛の密生が見られ、切干大根食糖尿病群の方は絨毛が疎になり、陰窩部が薄くなっていた。絨毛の形は両食糖尿病群で変化がみられた。回腸部においても十二指腸部と同様の変化がみられた。(4)形態計測について最も変化が大であったのは十二指腸部であり、切干大根食糖尿病群はセルロース食糖尿病群よりも陰窩部面積と総面積が小さかった。以上のことから摂取した食物繊維の種類が違うことにより小腸の形態に及ぼす影響にも違いが見られ、糖尿病群の方が対照群より明確に見られた。STZ糖尿病においては、切干大根中の食物繊維摂取により小腸の組織を含む形態が変化し、慢性的な栄養素の吸収低下を起こす結果、糖尿病時の空腹時血糖上昇の抑制が見られる一因と考えた。動物飼育データに関しては認定専攻科(食物栄養学専攻)生だった藤原亜希子,岡展代さんの特別研究としてともに行ったものである。

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