農業施設
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金属酸化物電極を用いた電解酸化法による廃棄乳の分解
吉田 弦井原 一高 豊田 浮彦梅津 一孝
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 41 巻 1 号 p. 22-28

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抄録
近年,酪農業において大量に廃棄される傾向にある生乳は乳脂肪などの生物難分解性物質を含むため,従来の生物学的処理の適用は困難である。本研究では廃棄乳の分解処理を目的として,電解酸化法の適用を試みた。処理法確立の基礎とするため,生乳含有中の有機成分の分解特性と,支持電解質や陽極材料に起因する反応機構との関係について検討を行った。Ti/PbO2電極を用いた希釈生乳の電解酸化処理において,電極表面における酸化が効果的であった。またNaClを添加することによりCOD除去率は増加した。ラクトースは, DSA(Dimensionally stable anode)と比較するとTi/PbO2電極は高い分解速度を示した。カゼインはラクトースと比較すると,電気化学的に難分解性であった。生乳と脱脂乳を比較して乳脂肪の分解特性を検討したところ,電解生成された次亜塩素酸およびTi/PbO2電極表面での酸化反応が効果的であった。実験結果より,Ti/PbO2電極表面での酸化反応が生乳中の有機成分の分解に大きく寄与することが示され,特に良好な乳脂肪の分解性が確認された。以上から,電解酸化法は廃棄乳処理に対して有効な手法であることが示唆された。
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